※この記事には映画『国宝』の一部ネタバレが含まれています。
映画『国宝』を観て、万菊役の圧倒的な存在感に心を奪われた方、多いんじゃないでしょうか?
あの謎めいた人間国宝を演じていたのは、舞踊家として世界的に活躍する田中泯(たなかみん)さんです!
「え、田中泯って誰?」「歌舞伎役者じゃないの?」と思った方も多いはず。
実は田中泯さんは元々ダンサーで、80歳という年齢でありながら今回初めて歌舞伎の人間国宝役に挑戦したんですよね。
国宝 万菊という検索をする人が急増しているのも、この圧巻の演技に衝撃を受けたからではないでしょうか!
この記事では、映画『国宝』で話題沸騰中の田中泯さんについて、なぜあれほどまでに観客の心を掴んだのか、彼の驚きの経歴から代表作まで詳しく解説していきます。
国宝「万菊」役の田中泯
映画『国宝』で万菊を演じた田中泯さんは、世界的に活躍するダンサー・舞踊家です。
1945年3月10日生まれの現在80歳で、本職は歌舞伎役者ではありません。
それなのに、なぜあれほどまでに説得力のある人間国宝を演じることができたのでしょうか?
理由は田中泯さんの独特な芸術への向き合い方にあります。
彼は長年にわたって独自のダンスを追求し続けてきた表現者だからです。
映画の中で万菊が踊る「鷺娘」のシーンは、多くの観客に強烈な印象を残しました。
あのシーンが異次元の表現になったのは、ダンサーとしての田中泯さんの身体表現力があってこそなんでしょう。
田中泯さん本人も万菊という役について、とても大きな衝撃を受けたと語っています。
「80になるまで伝統に触れず生きてきた」という彼にとって、人間国宝の歌舞伎役者を演じることは人生をかけた挑戦でした。
それでも彼は「万菊さんという自分のうちなる異人」と表現し、万菊という存在を自身の表現の一部として受け入れているんですよね。
観客が万菊の演技に心を動かされるのは、田中泯さんが役柄と真摯に向き合い、80歳になってもなお新たな表現に挑戦し続ける姿勢があるからなんです!
経歴
田中泯さんの経歴は、一般的な俳優とは全く異なる独特なものです。
まず驚くべきは、俳優デビューが57歳の時だったということ。
2002年の山田洋次監督『たそがれ清兵衛』が田中泯さんの映画初出演作品でした。
モダンダンサーとして活躍したのは1966年からです。
最初はクラシックバレエを学び、その後アメリカンモダンダンスを習得しました。
そして1974年からが彼の真骨頂なんです。
従来のダンスという枠組みに反発し、独自の表現方法「ハイパーダンス」を開始しています。
国際的な活動も非常に活発でした。
1978年にパリ秋の芸術祭でルーヴル美術館での公演を皮切りに、以下のような世界的な舞台で踊ってきました。
- アムステルダム市立美術館(1979年)
- アヴィニョン演劇祭(1980年)
- ローマ・カラカラ浴場(1980年)
特に注目すべきは、1990年にフランス政府から芸術文化勲章騎士章を受勲していることです。
これは日本人ダンサーとしては非常に名誉なことですね!
また、40歳からは山梨県で農業を始めながら、より深い身体性を追求しています。
都市を離れ、自然の中で生活することで、彼のダンスはさらに独特な深みを増していったよう。
この農業と芸術を両立させる生き方も、田中泯さんならではの哲学が表れているんでしょうね。
出演作
田中泯さんの出演作品は、ダンサーとしての表現力を活かした印象的な役柄が多いのが特徴です。
映画デビュー作『たそがれ清兵衛』では、第76回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞と第26回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞しました。
57歳での映画デビューでいきなりの受賞って、本当にすごいことですよね!
代表的な映画出演作には以下のような作品があります。
- 『たそがれ清兵衛』(2002年)- 余吾善右衛門役
- 『隠し剣 鬼の爪』(2004年)- 戸田寛斎役
- 『八日目の蝉』(2011年)- タキ写真館・滝役
- 『HOKUSAI』(2021年)- 葛飾北斎(老年期)役
- 『PERFECT DAYS』(2023年)- ホームレス役
テレビドラマでも数多くの印象的な役を演じています。
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では藤原秀衡役で出演し、菅田将暉さん演じる源義経との絡みが話題になりました。
連続テレビ小説『まれ』では土屋太鳳さんの家族として桶作元治役で出演しています。
元治役の田中泯さんは、塩田の職人で、塩水を塩田に撒く姿には生きる力強さを感じ、寡黙な役ながらもその独特な存在感で視聴者の記憶に残る演技でした。
最近では2023年のヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』での演技が国際的に注目されました。
この作品は第76回カンヌ国際映画祭に参加し、主演の役所広司さんと共に記者会見にも出席しているんです。
田中泯さんは映画やドラマの作り手が視聴者を馬鹿にしていると感じることがあると率直に語り、その芸術家としての信念が話題になりました。
どの作品でも田中泯さんは、単なる脇役を超えた強烈な存在感を発揮しています!
そして、7月から放送している『19番目のカルテ』にも、現代の赤ひげ先生として赤池役で出演しています。
同時期の「国宝」と「19番目のカルテ」ですが、役どころのギャップがありすぎて同じ人が演じていることに驚きます!
「国宝」のキャストや相関図などはこちらです。
まとめ
今回は、映画『国宝』で万菊役を演じて話題となった田中泯さんについて詳しく解説しました。
田中泯さんは80歳の世界的なダンサーで、57歳から始めた俳優業でも数々の名演を残している真の表現者です。
元々歌舞伎役者ではない彼が、なぜあれほどまでに説得力のある人間国宝を演じることができたのか。
それは長年にわたって独自の芸術を追求し続け、芸術に人生を捧げてきた彼だからこそ持つ深い精神性があるからなんですね!
国宝の万菊役で田中泯さんの演技に心を動かされた方は、ぜひ彼の他の作品もチェックしてみてください。
きっと新たな発見と感動があるはずです!
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